AS400 / IBM i の販売管理で、返品や赤伝処理は慎重に扱うべき処理です。売上だけを取り消したつもりが在庫が戻っていない、在庫は戻ったのに請求が残っている、赤伝を入れたあとに再請求の扱いが決まっていない、といったズレが現場で起きやすいからです。
返品・赤伝で分けて考えるもの
| 観点 | 見る処理 | 確認すること |
|---|---|---|
| 物流 | 返品入庫、在庫戻し | 実物が戻ったか、倉庫が正しいか |
| 販売 | 売上取消、赤伝 | 元伝票との紐付けがあるか |
| 請求 | 請求締め、再発行 | 締め前か締め後か、相殺か再請求か |
| 会計 | 仕訳、売掛 | 会計連携に反映されたか |
| 外部連携 | EDI、CSV、得意先通知 | 相手先に正しいデータが送られたか |
元伝票を追う
返品や赤伝では、元の受注番号、出荷番号、売上番号、請求番号をたどれる状態にしておくことが重要です。元伝票が分からないまま数量や金額だけをマイナスすると、在庫評価、売掛、得意先別実績が合わなくなることがあります。
締め前なら売上取消で済むのか、締め後なので赤伝で相殺するのか、商品が戻る返品なのか、値引きや請求訂正だけなのかを先に分けます。ここを混ぜると、在庫を戻すべきではない赤伝で在庫が増えたり、返品なのに請求だけが残ったりします。
障害対応時の会話テンプレート
問い合わせを受けたら、「商品は戻っていますか」「元伝票番号はありますか」「締め前ですか、締め後ですか」「請求書は発行済みですか」「得意先への再送は必要ですか」と確認します。システム担当だけで判断せず、営業、物流、経理のどこに影響するかを明確にしてから処理します。
出荷データのズレは AS400出荷データ重複・未送信の調べ方、請求側の確認は AS400請求金額不一致の調べ方、在庫戻しの確認は AS400棚卸差異・在庫調整のチェックリスト、売上計上で止まっている場合は AS400売上計上されない時の確認手順 と合わせて確認してください。
返品・赤伝で止める判断
返品・赤伝は、在庫だけ、売上だけ、請求だけを個別に直すと後続で数字が合わなくなります。次の状態では、処理を進める前に営業、物流、経理のどこまで影響するかを確認します。
| 状態 | 先に見ること | 決めること |
|---|---|---|
| 商品が戻っていない | 返品入庫、倉庫、ロケーション | 在庫を戻す赤伝か、金額訂正だけか |
| 請求締め後 | 請求書、売掛、再発行 | 相殺か再請求か、取引先へ通知するか |
| 売上計上済み | 売上日、元伝票、会計連携 | 売上取消か赤伝か、会計連携をどう扱うか |
| EDI送信済み | 送信ファイル、相手先受領状況 | 訂正データを再送するか、手動連絡にするか |
返品・赤伝は、在庫と売上と請求を同時に見る処理です
AS400の返品・赤伝トラブルでは、データを1件直せば終わりではありません。在庫、売上、請求、得意先別の締め、帳票、EDI連携まで影響が広がることがあります。現場では、どの業務日付で、どの伝票が、どの締めに入るかを確認してから対応します。
- 業務ヒアリングシートで返品・売上・請求の流れを整理する
- トラブル逆引きで業務影響から調査順を決める
返品登録済みでも在庫が戻らない時の例
返品伝票が作成されていても、在庫更新や赤伝作成が別工程なら途中状態が残ります。伝票番号を軸に各工程を追います。
| 確認点 | 確認内容 | 判断 |
|---|---|---|
| 返品 | 受付番号、返品理由、検品状態、確定時刻を確認する | 受付だけか業務確定済みかを分ける |
| 在庫 | 倉庫、ロケーション、良品・不良品区分、更新ジョブを確認する | 数量を手修正する前に未処理データを探す |
| 売上・請求 | 赤伝、締め状態、会計連携、再発行の有無を確認する | 同じ返品を二重に反映しない |
手作業で補正する場合は、どの自動処理を止めたか、再開時に同じデータが再処理されないかを確認します。返品、在庫、売上、請求の合計を一組として照合します。
締め後に注意すること
締め後の返品・赤伝は、請求書、PDF、会計連携、EDI請求送信に影響します。締め後データ修正と同じく、修正前後の証跡、承認、戻し手順を残してから対応します。
締め後修正は、AS400締め後データ修正の承認チェックリストも参考にしてください。
返品・赤伝トラブルの最初の15分の例
現場から連絡を受けた直後は、同じ伝票への再操作を止め、現在地を固定します。
| 確認点 | 確認内容 | 判断 |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 伝票番号、返品番号、処理時刻、操作者、画面状態を記録する | 取消や再登録を追加で行わない |
| 5〜10分 | 返品、在庫、売上、請求の各状態と更新ジョブを確認する | どこまで完了したかを分ける |
| 10〜15分 | 業務影響、締め状態、外部連携、承認者を確認する | 自動再処理と手修正のどちらを選ぶか判断する |
復旧記録には、実行した操作だけでなく「実行しなかった操作」と理由も残します。翌日の締めや会計連携で再度差異が出ないことを確認します。
関連するAS400確認ルート
返品・赤伝処理では、在庫・売上・請求を崩さないために、基本操作、障害逆引き、確認コマンドを順番に確認します。
返品・赤伝の確認順を、研修で標準化する
返品・赤伝は、在庫、売上、請求、締め処理、EDI連携まで影響が広がりやすい業務です。法人向けCodex研修では、現地で業務の流れを確認しながら、どの伝票・どの日付・どのジョブログを見るかを、担当者が説明できる形に整理します。