AS400 / IBM i は長く使われることが多く、業務は安定していても、ユーザープロファイル、オブジェクト権限、退職者ID、共用IDの運用が古いまま残っていることがあります。障害が起きてから見るのではなく、保守の棚卸しとして定期的に確認したい領域です。
権限を変えずに、対象を絞って証跡を取る
次は架空名による表示例です。閲覧権限を持つ担当者が、承認された対象を一つずつ確認します。
DSPUSRPRF USRPRF(TESTUSER) TYPE(*BASIC)
DSPOBJAUT OBJ(TESTLIB/ORDERPF) OBJTYPE(*FILE)ユーザー側では特殊権限・グループ・状態を、オブジェクト側では所有者・個別権限・公開権限・権限リストを記録します。表示内容は実行者の権限に左右されるため、見えない項目を「設定なし」と判断しません。実効権限にはグループや借用権限も関係するので、個別権限の表だけで利用可否を断定しないでください。
*ALLOBJは非常に強いオブジェクト権限ですが、他の特殊権限が必要な操作をすべて直接許す、という意味ではありません。例としてユーザープロファイル作成は*SECADMの確認が必要です。権限不足を見つけても、その場で*ALLOBJを追加する手順にはしません。
IBM公式:DSPUSRPRF、オブジェクト権限の確認、*ALLOBJの範囲
権限確認の観点
| 確認 | 見るもの | リスク |
|---|---|---|
| ユーザープロファイル | 使用停止、最終使用日、特殊権限 | 退職者IDや過剰権限の残存 |
| 共用ID | 利用者、用途、パスワード管理 | 誰が操作したか追えない |
| オブジェクト権限 | ライブラリ、ファイル、プログラム | 本番データの誤更新や参照漏れ |
| バッチ実行ユーザー | JOBD、SBMJOB、運用手順 | 人のIDで夜間処理が動く |
| 監査ログ | 操作記録、変更履歴 | 事故後に説明できない |
特殊権限は理由と期限を持つ
*ALLOBJ のような強い権限は、持っていること自体が悪いのではなく、理由、対象者、利用場面、期限、代替策が説明できない状態が危険です。保守会社や開発担当者に付与した権限も、プロジェクト終了後に残っていないか確認します。
退職者IDと共用IDは監査で見られやすい
現場では「昔からあるIDだから」という理由で退職者IDや共用IDが残っていることがあります。障害時には便利でも、監査やインシデント時には説明が難しくなります。廃止できない場合も、用途、責任者、保管場所、利用記録を明確にします。
担当者退職時の引き継ぎは AS400後任者への引き継ぎチェックリスト、属人化対策は AS400保守会社に相談する前のチェックリスト にまとめています。保守会社を選ぶ時も、権限管理をどう扱うかは重要な確認ポイントです。
退職者IDを含む権限棚卸しの例
退職者のユーザーIDを無効化するだけでなく、グループ、認可リスト、共有運用ID、スケジュールジョブへの影響を確認します。
| 確認点 | 確認内容 | 判断 |
|---|---|---|
| 利用者 | 在籍、役割、最終利用、状態、グループ所属を確認する | 不要IDと休職・非常用IDを区別する |
| 権限 | 特殊権限、重要オブジェクト、認可リスト、共有IDの利用を確認する | 役割に対して過剰な権限を例外のまま残さない |
| 運用 | バッチ、ジョブ記述、外部接続、所有オブジェクトへの影響を確認する | 停止後に定常処理が失敗しないよう事前に移管する |
残す例外には理由、承認者、期限、再確認日を付けます。棚卸し後は変更一覧と業務テストを確認し、単に一覧表を更新して終わらせません。
担当交代時に*ALLOBJを棚卸しする例
担当者が異動する時は、ユーザープロファイルの直接設定だけでなく、グループや運用用IDを通じた広い権限も確認します。
| 確認点 | 確認内容 | 判断 |
|---|---|---|
| 付与元 | 本人、グループ、運用ID、ジョブ記述など権限の利用経路を確認する | 直接付与だけを見て完了にしない |
| 利用目的 | 必要業務、利用頻度、承認者、代替手段を確認する | 過去に必要だったという理由だけで残さない |
| 変更 | 検証、実施日時、緊急時手順、戻し条件を決める | 影響を確認せず一括削除しない |
例外として残す権限には期限と再確認日を付けます。棚卸し後は、必要な定常処理と障害対応が動き、不要な操作が許可されていないことを確認します。
本番でやってはいけないこと
- 理由なく*ALLOBJを付ける
- 共用ユーザーで本番更新する
- 退職者ユーザーを放置する
- 権限エラーを避けるために全員へ強い権限を与える
- 顧客情報を含むCSVをそのままメール添付する
- AIや外部サービスへ本番データをそのまま渡す
本番作業全体の注意点は、AS400本番対応チェックリスト も合わせて確認してください。
権限変更前のチェック
| チェック | 内容 |
|---|---|
| 変更理由 | 誰が何の作業をするために必要か |
| 期間 | 一時的か恒久的か、戻す日を決めたか |
| 対象 | ユーザー、グループ、ライブラリ、オブジェクト |
| 影響 | 本番更新、データ閲覧、帳票出力、外部連携への影響 |
| 承認 | 業務責任者、システム責任者、保守担当の確認 |
| 記録 | 変更前、変更後、作業者、時刻、戻し手順 |