AS400 / IBM i を使い続けるには、現場だけでなく社内への説明が必要です。経営層や部門責任者から見ると、「古いシステムにお金をかける理由」が分かりにくいことがあります。だからこそ、Power更新、IBM iバージョン、PTF、バックアップ、セキュリティ、人材継承を、技術用語だけでなく事業リスクとして説明する必要があります。
この記事では、AS400更新計画を社内説明する時に入れるべき項目を整理します。目的は、単なる保守費のお願いではなく、「基幹業務を止めないための投資」として伝えることです。
提案資料の最初に書く結論
最初に書くべき結論は、「AS400を古いまま放置するのではなく、業務資産として現行化しながら使い続ける」です。リプレースを否定する必要はありません。ただし、今すぐ全移行するより、基幹処理を安定運用しながら、周辺から改善する方が現実的な会社は多いです。
社内向けには、次のように説明すると伝わりやすくなります。
AS400 / IBM i は現在も基幹業務を支えている重要資産です。短期リプレースでは業務停止や移行失敗のリスクが大きいため、まず現行環境を安全に保ち、段階的に周辺改善と人材継承を進めます。
資料に入れるべき6項目
| 項目 | 説明すること | 伝え方 |
|---|---|---|
| 業務影響 | 止まると困る処理、締め日、出荷、請求、在庫 | 売上・出荷・請求への影響で説明する |
| 現行リスク | バージョン、PTF、保守契約、バックアップ、復元 | 障害時に復旧できるかで説明する |
| 更新内容 | Power、IBM i、ACS、監視、セキュリティ | 使い勝手より安全性を先に置く |
| 人材継承 | RPG/CL、ジョブログ、運用手順、属人化 | 退職リスクと引き継ぎで説明する |
| 周辺改善 | CSV、BI、Web参照、AI活用、ドキュメント化 | 現場の調査時間削減で説明する |
| 比較案 | 継続、段階改善、全面リプレース | 費用だけでなくリスクも比較する |
技術説明を事業リスクに翻訳する
経営層には、DSPPTF、WRKSYSSTS、QSYSOPR、MSGW、RPGといった言葉だけでは伝わりません。技術項目は、事業リスクに置き換えて説明します。
- PTF未整理: 障害やセキュリティ対応が遅れるリスク
- 復元テストなし: 障害時に業務再開できないリスク
- 担当者一人依存: 退職や休職で保守できなくなるリスク
- 外部連携不明: システム変更時に影響範囲を見落とすリスク
- 資料不足: 若手や外部ベンダーが調査に時間を使うリスク
この翻訳ができると、AS400更新計画は「古いシステムの延命」ではなく、「基幹業務の継続性を守る計画」として見てもらいやすくなります。
リプレース案との比較表を作る
AS400を使い続ける提案でも、リプレース案との比較は避けない方がよいです。比較表を出すことで、継続利用が単なる惰性ではなく、リスクを見たうえでの判断だと伝わります。
| 案 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 現行維持のみ | 短期費用は少ない | 保守期限、人材、復旧リスクが残る |
| IBM i現行化 | 基幹処理を守りながら安全性を上げられる | 棚卸と計画が必要 |
| 周辺改善 | Web参照、CSV、BI、AIで現場負担を減らせる | 責任範囲とデータ連携設計が必要 |
| 全面リプレース | 画面や運用を大きく変えられる | 移行、テスト、教育、並行稼働の負担が大きい |
AI活用は調査時間削減として説明する
CodexやAIを入れる場合は、「AIでAS400を置き換える」と説明しない方が安全です。現実的には、ジョブログ調査、RPG/CL読解、影響調査、テスト観点、障害報告書、引き継ぎ資料の作成を助ける道具として説明します。
社内説明では、AI導入の目的を「調査時間を減らす」「若手が理解しやすくする」「属人化を減らす」に絞ると通りやすくなります。機密情報の扱い、マスキング、レビュー、承認ルールは必ずセットで説明してください。
提案資料の構成例
- 1. 現在AS400が支えている業務
- 2. 止まった場合の影響
- 3. 現行環境のリスク
- 4. 更新・現行化の対象
- 5. 継続利用とリプレースの比較
- 6. 3年ロードマップ
- 7. 人材継承とAI活用
- 8. 予算、体制、次のアクション
より広い方針は AS400長期ロードマップ、判断材料は AS400を使い続けるべきか判断するチェックリスト、AI活用の整理は AS400 / IBM i 現場向けCodex実戦研修を参考にしてください。
まとめ
AS400更新計画を通すには、技術の話だけでなく、基幹業務を止めないための説明が必要です。Power更新、IBM iバージョン、PTF、バックアップ、セキュリティ、人材継承、周辺改善を、会社のリスクと投資判断に翻訳してください。
AS400はまだまだ使い続けられます。だからこそ、古いまま放置するのではなく、計画的に現行化し、次の担当者にも引き継げる形にしていくことが重要です。
