AS400 / IBM iを使い続ける時に、いちばん大きな不安になりやすいのが人材不足です。システム自体は安定していても、RPGやCLを読める人が少ない、ジョブログを追える人が少ない、業務を説明できる人が退職しそう、という状態では長期利用のリスクが高くなります。
AS400保守の人材不足対策は、単に若手へコマンドを教えるだけでは足りません。業務、運用、障害対応、ソース読解、外部連携、権限、バックアップを、次の担当者が追える形に変えていく必要があります。
人材不足で本当に困ること
| 困りごと | 現場で起きること | 先にやる対策 |
|---|---|---|
| 業務を知る人がいない | 請求締め、出荷確定、在庫調整の判断ができない | 業務別の処理順と例外を残す |
| RPG/CLを読めない | 小変更でも影響範囲が分からない | 主要プログラムの処理概要を作る |
| ジョブログを追えない | 障害時に原因候補を絞れない | よく出るメッセージと初動をまとめる |
| 運用が属人化している | 担当者不在時に夜間バッチを見られない | 日次・月次チェックリスト化する |
| 外部委託しにくい | 依頼内容を説明できず見積もりが膨らむ | 画面、帳票、連携、締め処理を棚卸する |
若手に最初から全部を教えようとしない
AS400の経験者が少ない現場では、若手にRPG、CL、DDS、ジョブ、ライブラリ、権限、バックアップを一気に教えようとして失敗しがちです。最初は、日次運用、ジョブログ確認、スプール確認、MSGW確認、よく使うコマンドの意味から始める方が定着します。
- 1か月目: 5250画面、ライブラリ、ジョブ、スプール、基本コマンド
- 2-3か月目: ジョブログ、MSGW、夜間バッチ、障害時の一次切り分け
- 4-6か月目: RPG/CLの読み方、DSPPGMREF、影響調査、テスト観点
- 6か月以降: 業務別の改修、外部連携、権限、バックアップ復旧
学習順は AS400初心者向け学習ロードマップ、運用全体は AS400保守・運用ガイドにまとめています。
属人化を減らすために残す資料
人材不足対策で一番効くのは、完璧な設計書を作ることではなく、次に困った人が調査を始められる資料を残すことです。特に、業務の流れ、夜間バッチ、障害時の初動、重要ファイル、担当者判断が必要な処理を優先します。
- 業務別: 在庫照会、請求締め、出荷確定、返品、単価改定
- 運用別: 日次監視、月次点検、バックアップ、復元、MSGW
- 障害別: ジョブログの見方、CPF/RNX/MCH系メッセージ、再実行手順
- 資産別: RPG/CL、物理ファイル、論理ファイル、帳票、外部連携
- 判断別: 誰に確認するか、どこまで担当者判断で進めてよいか
AIは人材不足を補うが、丸投げはしない
AIやCodexは、AS400保守の人材不足対策としてかなり相性がよいです。ジョブログの要点整理、RPG/CLの処理説明、テスト観点、障害報告書、引き継ぎ資料の下書きに使えます。特に、調査時間を減らしたい現場には効果があります。
ただし、ソースやジョブログをそのまま貼るのではなく、会社名、ユーザーID、ライブラリ名、顧客名、実データをマスキングし、AI回答は必ず人が確認します。運用ルールを決めずに使うと、かえって危険です。
実務で使う場合は AS400保守向けAIプロンプト集 と AS400 / IBM i 現場向けCodex実戦研修を参考にしてください。
まとめ
AS400保守の人材不足対策は、採用だけでは解決しません。業務理解、運用手順、障害対応、ソース読解、AI活用、外部委託の切り分けを組み合わせて、次の担当者が追える状態を作ることが重要です。
IBM iはまだまだ使い続けられる基盤です。だからこそ、人に依存したまま残すのではなく、引き継げるAS400に変えていきましょう。
