AS400 / IBM i の保守や改修を外部へ依頼する時は、技術者の経験年数だけでなく、対象業務、現行調査、完了条件、本番反映、切戻し、知識移管までRFPに書きます。依頼内容が曖昧なままでは、各社が別の前提で見積もるため、金額も作業範囲も比較できません。
RFPで最初に決める7項目
| 項目 | 最低限書く内容 | 曖昧な場合の問題 |
|---|---|---|
| 業務目的 | 誰が、何に困り、何を改善したいか | 技術変更だけ行い業務課題が残る |
| 対象範囲 | 業務、画面、帳票、RPG/CL、PF/LF、バッチ、外部連携 | 見積もり後に対象が増える |
| 対象外 | 今回変更しない業務、過去データ、周辺システム | 委託先ごとに前提が変わる |
| 現行調査 | 仕様不明点、調査方法、判断者、調査成果物 | 推測した仕様で改修が進む |
| 完了条件 | 入力値、期待結果、件数・金額、性能、業務確認 | 「動いた」の基準が一致しない |
| 本番・切戻し | 反映時間、承認者、バックアップ、戻す条件と担当 | 障害時に戻す判断が遅れる |
| 引き継ぎ | ソース、設計書、調査メモ、テスト証跡、教育範囲 | 改修後も社内に知識が残らない |
曖昧な依頼を完了条件のある依頼へ変える例
曖昧な例: 「月次売上一覧へ得意先分類を追加してください。できるだけ早くお願いします」
この書き方では、対象帳票、分類の取得元、過去分への適用、空欄時の扱い、並び順、合格条件が分かりません。次のように業務条件へ分解します。
| 確認項目 | 記入例 |
|---|---|
| 目的 | 営業担当が得意先分類別の売上を確認できるようにする |
| 対象 | 月次売上一覧。次回締め分から適用し、過去帳票の再作成は対象外 |
| 取得元 | 得意先マスターの分類コードと分類マスターの名称 |
| 未設定 | 「未設定」と表示し、処理は異常終了させない |
| 合格条件 | 指定した3得意先で分類名、合計金額、改ページが期待結果と一致する |
| 影響確認 | RPG/CL、使用ファイル、CSV出力、後続バッチ、帳票保管 |
| 切戻し | 変更前オブジェクトとソースを保存し、承認後に戻せるようにする |
現行仕様が分からない項目は調査工程にする
古いRPG、CL、Query、帳票、EDI連携が混在する環境では、RFP作成時点で全仕様が分かっているとは限りません。不明点を推測で要件にせず、「何を調べるか」「調査結果を誰が確認するか」「どの時点で改修範囲を確定するか」を工程として書きます。
- 呼び出し元・呼び出し先と使用ファイルを確認する
- 夜間バッチ、締め処理、帳票、外部連携への影響を確認する
- 現行画面と帳票を業務担当者に確認してもらう
- 調査で範囲が増えた場合の見積もり変更手順を決める
価格以外で比較する項目
| 比較項目 | 確認する質問 |
|---|---|
| 業務理解 | 受注、出荷、在庫、請求、締め処理をどう確認するか |
| 障害対応 | 連絡時間、一次切り分け、復旧判断、再発防止を誰が行うか |
| 品質 | レビュー、テスト、証跡、承認をどう残すか |
| 安全 | 本番データ、機密情報、権限、AI利用をどう管理するか |
| 知識移管 | 社内担当者が次回調査できる資料と説明が残るか |
成果物を名前だけでなく中身まで決める
「設計書一式」「テスト結果一式」だけでは、納品時に必要な情報が足りないことがあります。成果物ごとに、対象、記載項目、形式、更新責任者、レビュー者を決めます。現行調査を依頼する場合は、判明した仕様だけでなく、未確認事項と判断根拠も成果物に含めます。
| 成果物 | 含める内容 | 受入確認 |
|---|---|---|
| 影響調査一覧 | 呼び出し元、使用ファイル、帳票、バッチ、外部連携 | 対象外と未確認箇所も記載されているか |
| 変更設計 | 変更前後、業務ルール、例外、権限、エラー処理 | 業務担当者が期待結果を確認したか |
| テスト証跡 | 入力、期待値、実結果、確認者、実施環境 | 正常系だけでなく境界値と異常系があるか |
| 本番手順 | 事前確認、反映、確認、切戻し、連絡順 | 実施者と承認者が区別されているか |
| 引き継ぎ資料 | 日常確認、障害時の入口、連絡先、更新方法 | 社内担当者が資料だけで一次確認できるか |
追加要望が出た時の変更手順も決める
現行調査後に対象プログラムや連携が増えることはあります。追加要望が出た時は、口頭で作業へ混ぜず、追加理由、影響、費用、納期、受入条件を変更票へ記録します。元の見積範囲、追加範囲、対象外を分ければ、納期遅延や請求差の理由を後から説明できます。
本番情報とAI利用の条件を明記する
委託先へ渡してよい情報、社外へ出せない情報、マスキング方法、接続方法、ログ保存、アカウント終了時の処理を決めます。CodexなどのAIを使う場合も、入力禁止情報、利用できる環境、出力のレビュー責任、ソースやデータの保管方法をRFPに含めます。「AI利用可」だけでは安全条件になりません。