このページでは、AS400現場ノートを運営している私のAS400 / IBM i に関する実務経験をまとめています。
当サイトの記事は、特定の会社名、顧客名、システム名、機密情報を出さずに、現場で経験してきた内容を一般化して書いています。AS400 / IBM i をこれから学ぶ方、保守担当になった方、導入や人材育成を考えている方の参考になればうれしいです。
AS400 / IBM i に関わり始めたきっかけ
AS400 / IBM i に関わり始めたのは2000年です。最初に入社した会社がAS400の開発会社だったことがきっかけでした。
学生時代はAS400という名前も知らず、とにかく初任給が高い会社を探していました。当時はIT業界の求人が多く、就職氷河期でしたが、IT業界は比較的内定を取りやすい時期でした。その流れで入社した会社でAS400と出会い、RPGの研修を受けてから、この世界で仕事を続けることになりました。
入社当初は「AS400は古い」「将来なくなるかもしれない」と言われることもありましたが、25年以上経った今でも、基幹システムの現場では現役で使われています。古く見える部分はありますが、中身は本物だと感じています。
主に担当してきた業界と業務領域
一番長く関わってきた業務領域は販売管理システムです。業界としては、アパレル、小売業、卸売業の経験が中心です。そのほか、物流や不動産関連のシステムに関わったこともあります。
販売管理では、見積、受注、出荷、在庫引当、売上、請求、会計連携まで、業務の流れを意識して開発・保守を行ってきました。販売管理システムは、どこか一箇所だけを見ればよいものではありません。入力されたデータが後続処理に流れ、在庫や売上、請求、外部連携に影響します。
| 経験領域 | 主な内容 | 現場で意識していること |
|---|---|---|
| 販売管理 | 見積、受注、出荷、売上、請求、会計連携 | 入力データが後続処理にどう影響するかを見る |
| 小売・卸売 | 店舗連携、物流連携、在庫、売上処理 | 止めてはいけない処理を優先して判断する |
| アパレル | 商品、サイズ、色、店舗、出荷に関わる処理 | 商品軸と店舗軸のデータ流れを意識する |
| 物流・その他 | 外部連携、バッチ処理、帳票、データ確認 | ジョブ、スプール、ログを確認して状況を整理する |
担当してきた作業範囲
これまでの仕事は、新規案件の開始段階から参画し、設計、開発、追加要望対応、保守まで担当する形が多かったです。単純にプログラムを書くだけではなく、システム全体の流れを理解し、業務側の要望をどうシステムへ落とし込むかを考えることが多い仕事でした。
AS400の現場では、開発して終わりではありません。稼働後の追加要望、障害対応、夜間バッチの確認、本番対応、データリカバリーなど、システムを長く使い続けるための作業が続きます。基幹システムは一度動き始めると長く使われるため、保守しやすい作りや、運用を考えた設計が大事だと感じています。
よく使ってきた技術・機能
中心になるのはRPGです。AS400の開発・保守では、RPGのソースを読み、修正し、コンパイルし、実行結果を確認することが基本になります。
そのほか、CL、SQL、QUERY、PDM、DFU、ジョブログ、スプール、ライブラリリスト、バッチ処理なども日常的に使います。特に保守では、ソースだけでなく、ジョブ、ログ、ライブラリ、ファイル定義、スプールを横断して見る力が必要です。
| 分野 | 経験内容 | 記事で扱う理由 |
|---|---|---|
| RPG | 販売管理システムの開発・保守 | AS400保守の中心になるため |
| CL | バッチ制御、ジョブ投入、後続処理制御 | 本番処理や障害対応に関わるため |
| SQL / QUERY | データ確認、調査、リカバリー補助 | DBの状態確認に使うため |
| ジョブログ | 障害調査、MSGW、アベンド原因確認 | AS400保守で避けて通れないため |
| PDM / スプール | ソース管理、コンパイル結果、帳票確認 | 初心者が最初につまずきやすいため |
本番対応とデータリカバリーの経験
本番対応やデータリカバリーの経験もあります。日中は問題なく動いていても、夜間バッチや外部連携処理でトラブルが発生することがあります。販売管理システムでは、受注、出荷、在庫、売上、請求などに影響するため、状況を見誤ると業務への影響が大きくなります。
本番対応で大事なのは、焦らないことです。対象環境、ライブラリリスト、対象ファイル、バックアップ、影響範囲、作業者、作業手順を確認してから対応します。特にデータ更新を伴う作業では、更新先ライブラリを間違えないこと、作業前後の状態を確認すること、レビューを受けることが重要です。
このサイトでは、本番環境を直接操作するような危険な手順を安易にすすめることはしません。実際の本番作業では、必ず所属組織のルール、権限、レビュー体制、バックアップ方針に従ってください。
得意だと感じていること
自分が最初から関わっているシステムでは、お客様の業務を把握しているため、システム全体の流れが見えます。どの処理がどこにつながり、どこを止めると何に影響するのかを考えながら対応できます。
AS400保守では、プログラム単体だけでは判断できないことが多いです。業務の流れ、周辺システム、バッチ処理、データ連携、帳票、ジョブログを合わせて見て、どう対応するかを決める必要があります。そこが自分の得意分野だと思っています。
スキルを点数で自己評価するのは難しいですが、販売管理システムの保守、RPGを中心とした開発、ジョブログ調査、本番対応、若手への現場説明については、長年の実務経験をもとに記事を書ける分野です。
若手や初心者に伝えていること
若手や初心者に教えるときは、まずシステム全体図や周辺システム関連図を見せるようにしています。最初からすべて理解するのは難しいと思いますが、目の前のプログラムだけでなく、お客様のシステム全体がどう動いているのかを知ることが大事です。
プログラムは大事ですが、それだけでは足りません。業務を理解し、どの処理が何のためにあるのかを知ることで、保守の判断ができるようになります。AS400エンジニアとして長く仕事をするなら、RPGやCLの書き方だけでなく、業務知識とコミュニケーション能力も必要です。
現場でよく見てきたトラブル
よくあるトラブルの一つは、暴走ジョブがCPUを使い切り、システム全体が重くなるようなケースです。WRKACTJOBでCPU使用率やMSGWのジョブを確認し、ジョブログを見て原因を追うことがあります。
また、技術的な問題だけでなく、コミュニケーションの問題も危ないと感じます。質問に対して事実を整理して答えられない、バグを認められない、プライドが邪魔をして状況共有が遅れる、といった行動は本番対応では危険です。障害対応では、かっこつけるより、早く正確に状況を共有することが大事です。
AS400の強みだと思うこと
25年以上AS400 / IBM i に関わってきて、強みだと思うのは安定性です。これまでシステム全体が止まった経験はほとんどありません。大きく記憶に残っているのは、電源装置の故障で1日システムダウンしたケースくらいです。それ以外は、ハードもOSも非常に安定している印象があります。
古臭いシステムに見えるかもしれませんが、基幹システムとしては本物です。特にミッションクリティカルな業務では、安定して動き続けることが大きな価値になります。見た目だけで判断せず、中身を知ってほしいと思っています。
このサイトで伝えたいこと
AS400現場ノートで一番伝えたいのは、AS400 / IBM i は古く見えても、現場ではまだ価値のあるシステムだということです。エンドユーザー側であれば、基幹システムとしてAS400の導入や継続利用を検討する材料にしてほしいです。開発側であれば、AS400も捨てたものではないので、特に若い人にチャレンジしてほしいと思っています。
記事を書くときは、自分の言葉で本当の現場を伝えることを意識しています。飾った話ではなく、現場で実際に困ること、初心者がつまずくこと、保守で気をつけることを、できるだけ分かりやすく整理します。
ただし、公開できる内容には制限があります。顧客名、会社名、実システム名、機密情報、個人情報、具体的な本番データは出しません。実務経験をもとにしつつ、読者が安全に学べるよう一般化して書いています。
スキル領域の目安
自己採点は難しいため、ここでは当サイトで扱える主な領域を目安として整理します。
| 領域 | 経験の目安 | このサイトで扱う内容 |
|---|---|---|
| 販売管理システム | 主担当領域 | 受注、出荷、売上、請求、会計連携までの流れ |
| RPG保守 | 中心スキル | 既存ソースの読み方、修正、コンパイル、単体テスト |
| CL / バッチ処理 | 実務経験あり | ジョブ投入、後続処理、MONMSG、ジョブキュー |
| ジョブログ調査 | 保守で日常的に使用 | MSGW、CPF/RNX/MCH、重大度、原因調査 |
| 本番対応 | 経験あり | 環境確認、影響範囲、リカバリー、レビュー |
| 若手教育 | 現場で実施 | システム全体図、業務理解、保守の考え方 |
| Codex活用 | 実務補助として活用 | ソース読解、テストデータ作成、調査補助、レビュー |
最後に
AS400 / IBM i は、見た目だけで判断すると古く見えるかもしれません。しかし、長く現場で使われ続けている理由があります。安定性、既存資産の継続利用、基幹システムとしての信頼性は、今でも大きな強みです。
このサイトを読んだ人が、AS400 / IBM i を少しでも前向きに見てくれたらうれしいです。若いエンジニアには、AS400にチャレンジして、価値を出せるAS400エンジニアを目指してほしいと思っています。