AS400(IBM i)の現場で長く仕事をしていると、通常の開発や保守よりも強く記憶に残る場面があります。
それが、本番稼働前後の対応です。
私は新卒で2000年に入社してから、流通業界の販売管理システムを中心に、AS400の開発・保守・追加要望対応に25年以上関わってきました。その中で、本番稼働前後の忙しさやプレッシャーは、現場によって大きく変わると感じています。
この記事では、AS400の本番稼働前後で何が大変なのか、若い人や未経験者に何を知っておいてほしいのかを、現場目線で本音に近い形でまとめます。
本番稼働前後で一番忙しいのはデータリカバリー
本番稼働前後で一番忙しいと感じるのは、トラブル発生時のデータリカバリーです。
システムの切り替えや新機能の本番反映では、どれだけ準備していてもトラブルが起きることがあります。特に流通業界の販売管理システムでは、売上、在庫、出荷、物流など、止められない処理が多くあります。
その中でデータに不整合が出ると、待ったなしで直さなければいけません。
「明日でいいです」とは言えない場面があります。現場が動いていて、店舗も動いていて、物流も動いている。そこで誤ったデータが残っていると、後続処理にどんどん影響が広がります。
このプレッシャーはかなり大きいです。
忙しさは現場PMによって大きく変わる
ただし、本番稼働前後が必ず地獄になるかというと、そうではありません。
これは現場PM次第のところが大きいです。
仕事ができる人の下では、事前準備、役割分担、判断基準、切り戻し方針が整理されています。そういう現場では、トラブルが起きても必要以上に混乱しません。
逆に、準備が甘く、判断が遅く、現場任せになっているプロジェクトでは、本番前後が一気に厳しくなります。
AS400だから大変というより、止められない業務システムを扱う以上、プロジェクト運営の良し悪しがそのまま現場の負荷に出ます。
精神的に疲れる一番の理由は責任の重さ
本番対応で精神的に疲れる理由はいくつかあります。
障害対応、待機、顧客対応、長時間勤務など、どれも負担になります。ただ、私が一番大きいと感じるのは責任の重さです。
たとえば、ここで作業を間違えたら500店舗のシステムが止まってしまうかもしれない。そういう状況で作業することがあります。
単にプログラムを直すだけなら、まだ気持ちは楽です。しかし本番データに触る作業や、業務停止につながる判断が絡む作業では、緊張感がまったく違います。
AS400は安定しているシステムですが、だからこそ止められない重要な業務で使われていることが多いです。その分、担当者にかかる責任も大きくなります。
2009年の大規模な流通系プロジェクト案件でしんどかった経験
今でも覚えている、しんどかった現場があります。
2009年8月ごろの大規模な流通系プロジェクトです。
その時は、日曜日だけ休みで、朝10時から夜22時まで勤務するような状態でした。たまに泊まり込みもありました。そのような稼働が3か月ほど続きました。
仕事の内容そのものも大変でしたが、さらに会社の待遇も良くありませんでした。後日、代休の買取がありましたが、1日2000円でした。
正直、信じられないと思いました。
その会社は辞めました。
この経験から思うのは、AS400の仕事そのものが悪いわけではないということです。同じAS400の現場でも、会社、プロジェクト、PM、顧客との関係によって働きやすさは大きく変わります。
無事に本番稼働できた時の達成感は大きい
大変なことばかり書きましたが、本番稼働が無事に終わった時の達成感は大きいです。
大きな問題もなく本番稼働を迎えられて、週末に打ち上げができるような時は、やはり達成感があります。
止めてはいけないシステムを、関係者で協力して無事に動かす。その経験は、業務システムに関わるエンジニアとして大きな財産になります。
AS400の仕事は地味に見えるかもしれませんが、企業活動の中心に近いところを支えている実感があります。
若い人に伝えたい本番対応の注意点
若い人や未経験者に本番対応で一番伝えたいのは、焦って作業しないことです。
本番障害が起きると、周囲の空気が一気に変わります。電話が鳴り、問い合わせが入り、上司や顧客から状況確認を求められます。
その中で焦って作業すると、さらに状況を悪くしてしまうことがあります。
まずは落ち着いて、何が起きているのかを確認する。どのデータが影響を受けているのか、どの処理が止まっているのか、復旧するには何をすべきかを整理する。
本番対応では、早く動くことよりも、正しく動くことのほうが大切な場面があります。
AS400の本番対応で大事だと思うこと
私がAS400の本番対応で大事だと思うのは、次のような点です。
- 本番データを触る前に、必ず影響範囲を確認する
- 作業前後の状態を記録する
- 判断に迷う時は一人で抱え込まない
- 焦ってコマンドを実行しない
- 復旧作業と原因調査を分けて考える
- PMやリーダーの指示系統を確認しておく
特にデータリカバリーでは、作業内容を記録しておくことが重要です。あとから「何を直したのか」「なぜ直したのか」が説明できないと、別の問題につながります。
まとめ
AS400の本番稼働前後で大変なのは、単に作業量が多いからではありません。
止められない業務システムを扱い、場合によっては店舗や物流に影響するデータを、限られた時間の中で正しく直さなければいけない。その責任の重さが、本番対応の大変さだと思います。
一方で、無事に本番稼働できた時の達成感も大きいです。若い人には、怖がりすぎる必要はありませんが、焦らず、落ち着いて、確認しながら作業する姿勢を大切にしてほしいです。
AS400は今でも多くの重要な現場で使われています。だからこそ、本番対応の経験は、エンジニアとして大きな強みになります。
AS400の保守・本番対応で悩んでいる方へ
AS400(IBM i)の調査、保守、RPG、CL、データ確認、本番対応まわりでお困りのことがあれば、お問い合わせページからご相談ください。
よくある質問
AS400の本番対応は初心者には難しいですか?
最初から一人で対応するのは難しいです。ただし、影響範囲の確認、作業記録、ジョブログ確認などを一つずつ覚えれば、少しずつ対応できるようになります。
本番障害で一番気をつけることは何ですか?
焦って作業しないことです。早く直そうとして誤ったデータ修正やコマンド実行をすると、状況が悪化することがあります。
AS400の本番対応経験はキャリアに役立ちますか?
役立ちます。止められない業務システムの運用や復旧に関わった経験は、保守エンジニアとして大きな強みになります。
