AS400は本当になくなるのか?25年以上関わった現場目線で考える将来性

AS400(IBM i)は本当になくなるのか。これは、AS400に関わる人なら一度は考えるテーマだと思います。

私は2000年に新卒でIT業界に入り、流通業界の販売管理システムを中心に、AS400の開発、保守、追加要望対応に25年以上関わってきました。入社した当時から、会社の先輩には「まあ10年はなくならないと思うけど、将来は不安だよね」と言われていました。

それから25年以上経ちましたが、AS400は今も現場で使われています。もちろん、永遠に残るとは言えません。それでも、少なくとも私が見てきた現場では、AS400は簡単には止められないシステムとして残り続けています。

この記事の立場

この記事は、流通業界の販売管理システムでAS400に25年以上関わってきた一人の現場目線です。すべての会社や環境に当てはまる話ではありませんが、AS400の将来性を考えるうえで、現場で感じてきたことを正直にまとめます。

入社当時から「AS400はなくなる」と言われていた

私が入社した2000年ごろ、すでにAS400は「古い」「そのうちなくなる」と言われていました。会社の先輩からも、将来性について不安な話を聞いたことがあります。

当時の私は新卒でしたので、正直なところ、AS400がどういうものかもよくわかっていませんでした。最初はC言語の研修にも行きましたが、周りについていけず、かなり苦労しました。

その後、社内配属で初めてAS400とRPGに出会いました。RPGの研修を受けたときに、「これなら自分でもやっていけるかもしれない」と感じました。そこから今まで、AS400に関わる仕事を続けています。

25年以上残っている理由は安定性だと思う

AS400が今も残っている一番の理由は、システムの安定性だと思います。特に流通業界の販売管理や物流のように、止めてはいけないミッションクリティカルなシステムでは、安定して動き続けることが何より重要です。

もう一つ大きいのは、過去に作ったプログラムを長く使い続けられることです。AS400を新しい機械に買い替えても、昔から使っているプログラムが動き続けるケースがあります。ただし、これはすべてのプログラムや周辺製品が無条件で動くという意味ではありません。IBM iリリース、Power機、LPP、PTF、外部製品、コンパイラー、デバイスの対応状況を個別に確認する必要があります。

Windowsの世界では、Windows 7対応、Windows 10対応、Windows 11対応のように、OSや環境が変わるたびに対応が必要になることがあります。AS400では、そうした互換性の面で助けられている部分が大きいと感じます。

結論:AS400という旧製品名と、現在のIBM iを分けて考える

「AS400はなくなるのか」を考える時は、名前と現在の製品を分ける必要があります。AS/400は1988年に登場した製品名で、現在のオペレーティングシステムはIBM i、稼働基盤はIBM Powerです。現場では今も通称としてAS400が広く使われるため、この記事でも検索されやすいAS400という表記を併記しています。

したがって、昔のAS/400ハードウェアが今後も残るという話と、IBM iという現行プラットフォームが開発・提供されているという話は別です。また、IBM iが継続していても、自社の古いOS、ハードウェア、周辺製品、保守契約がサポート対象とは限りません。

2026年7月時点では、IBM iは現在も更新されている

IBMのIBM i製品ページでは、IBM iをAS/400の後継として進化を続ける統合OSと位置づけています。IBM i 7.6は2025年4月18日に一般提供され、標準サポート終了日は少なくとも12か月前に告知する扱いです。これは「永遠になくならない」という保証ではありませんが、少なくとも現在も製品開発と更新が続いていることは確認できます。

IBM i 7.6では、組み込みの多要素認証、SQLやRPGの機能追加、Navigator for i、ACS(IBM i Access Client Solutions)、REST API向けのIntegrated Web Servicesなども更新されています。IBM iは5250画面と古いRPGだけの閉じた環境ではなく、SQL、Web API、VS Code系ツール、オンプレミスやPower Virtual Serverとの組み合わせも選べます。

一方、バージョンごとの期限は別管理です。2026年7月時点では、IBM i 7.4の標準サポートは2026年9月30日に変更予定で、その後は有償のService Extensionが案内されています。運用判断では、必ずIBMのIBM i Release life cycleで自社リリースの最新状況を確認してください。

ここを混同しない

IBM iの製品ロードマップがあることと、自社システムをそのまま放置してよいことは同じではありません。OS、Power機、PTF、バックアップ、ソース、外部連携、保守要員のどれかが止まれば、プラットフォームが現役でも業務システムは維持できません。

自社のAS400を続けられるか確認する実務チェック

確認項目確認方法の例危険な状態
IBM iリリースDSPSYSVAL SYSVAL(QRELEASE)リリースを誰も把握しておらず、サポート期限も未確認
PTFグループWRKPTFGRP、必要に応じてDSPPTF長期間更新されず、適用方針やテスト手順もない
ハードウェア機種、シリアル、保守契約、対応可能なIBM iリリースを確認故障時の部品・保守・移行先が決まっていない
バックアップSAVE運用、BRMS、媒体、保管先、復元テストを確認保存成功だけを見ており、実際に復元したことがない
ソースとビルドRPG、CL、DDS、SQL、バインド情報、コンパイル手順を棚卸しオブジェクトだけ存在し、再作成できない
夜間バッチWRKJOBSCDE、JOBQ、SBSD、前後関係、再実行手順を確認担当者の記憶だけで動き、異常終了後の戻し方がない
外部連携FTP/SFTP、API、CSV、データキュー、IFS、文字コードを一覧化接続先、CCSID、再送条件、認証更新が不明
権限・セキュリティユーザープロファイル、特殊権限、共有ID、TLS、監査を確認退職者IDや過剰権限が残り、誰が何を実行したか追えない
保守要員一次対応、業務判断、RPG/CL、DB、インフラの担当を分けて確認一人しか直せず、休職・退職で保守不能になる
移行可能性業務機能、データ量、帳票、インターフェース、繁忙期を棚卸し「古いから全部移行」「安定しているから何もしない」の二択

リリースとPTFの見方はAS400バージョン確認、期限の整理はIBM i保守期限の確認チェックリスト、復旧面はバックアップ・復旧チェックリストで具体的に確認できます。

販売管理や物流にはAS400が向いていると感じる

私が関わってきたのは、主に流通業界の販売管理システムです。受注、出荷、在庫、売上、物流など、止まると業務に大きな影響が出る領域です。

このようなシステムでは、最新技術を使っているかどうかよりも、確実に動くこと、長く保守できること、障害時に原因を追えることが重要になります。その意味で、AS400は今でも向いている場面があると思います。

もちろん、画面の見た目や開発体験は古く感じることがあります。それでも、基幹業務の裏側で安定して動くという点では、AS400の強さはまだ残っています。

しんどいところは文字コードと他システム連携

AS400で面倒だと感じるところもあります。私が特にしんどいと感じるのは、文字コードまわりです。

AS400ではEBCDICコード、シフト文字、CCSID(文字コードを識別する番号)といった概念が出てきます。AS400の中だけで処理が完結しているうちはまだよいのですが、他のシステムと連携するときに、文字コード変換で悩むことがあります。

外部システム、Windowsサーバー、Web系システム、CSV連携などが絡むと、「文字化け」「桁ずれ」「変換できない文字」などが問題になることがあります。このあたりは、AS400に慣れていても面倒です。

AS400は若い人にとってチャンスだと思う

若い人や未経験者がAS400を学ぶのはアリかと聞かれたら、私は「アリ」だと思います。むしろ、かなりチャンスがある分野だと感じています。

AS400は、新しく入ってくる人が少ないです。私の感覚では、乾きそうな海のブルーオーシャンのような状態です。市場がどんどん広がっているわけではありませんが、できる人が少ないため、現場では重宝されやすいです。

特に若いエンジニアは少ないです。今行っている現場でも、若い人の教育をしています。AS400を読める、RPGを保守できる、ジョブログを追える、基本コマンドが使える。これだけでも、現場ではありがたい存在になります。

ただし多言語も並行して学んだ方がいい

AS400をおすすめする一方で、AS400だけに全振りするのは少し怖いとも思っています。いつなくなるかは誰にもわからないからです。

私個人の感覚では、適切に更新と保守を続ける現場なら、向こう10年ほどIBM iを使う選択肢は十分あり得ると思っています。ただし、これは製品寿命を保証する予測ではありません。実際の判断は、自社リリースの公式サポート期限、対応ハードウェア、周辺製品、保守要員、バックアップと移行計画で行う必要があります。

若い人がAS400を学ぶなら、RPGやCL、ジョブログ、基本コマンドを押さえつつ、別の言語やWeb系、データベース、クラウドなども並行して学ぶのが良いと思います。AS400を軸にしながら、他の技術も使える人になると、かなり強いです。

AS400エンジニアの今後

AS400エンジニアは、人数としては減っていくと思います。ベテランが多く、若い人が少ないからです。一方で、システム自体はすぐにはなくならない現場も多いはずです。

つまり、できる人は今後も重宝される可能性があります。特に、AS400だけでなく、他システム連携や周辺技術もわかる人は強いと思います。

AS400は派手な技術ではありません。流行りの技術でもありません。それでも、業務を止めないために必要とされる場面があります。そこに価値を感じられる人なら、チャレンジしてみる意味はあると思います。

続ける・直す・つなぐ・置き換えるの判断表

AS400の将来を「残すか捨てるか」だけで決めると、判断を誤りやすくなります。現場では業務や機能ごとに分けて考えます。

選択肢向いている状態先に確認すること
継続利用業務が安定し、保守期限・バックアップ・要員に見通しがあるOS/PTF、Power機、復元テスト、技術継承
バージョンアップ業務機能は残しつつ、古いリリースや機器のリスクを下げたい対応機種、前提PTF、LPP、外部製品、コンパイル・業務テスト
周辺からモダナイズ基幹DBやバッチは安定しているが、画面・帳票・連携が弱いAPI化、Web化、認証、CCSID、再送・障害時の責任分界
部分移行新規機能だけ別基盤に出し、既存資産を段階的に整理したいデータの正本、二重更新、締め処理、監査、切り戻し
全面リプレース業務変更が大きく、保守不能・製品終了・コスト超過が続く隠れた業務ルール、全帳票、全連携、繁忙期、移行照合

私なら、受注・在庫・売上など安定している基幹処理は急いで壊さず、先に属人化したバッチ、文字コード依存のCSV連携、手作業の帳票、保守資料不足から整えます。全部を一度に置き換えるより、事故の起点を見える化して優先順位を付ける方が現実的です。

具体的な分け方はAS400モダナイゼーション・リプレース判断ガイド周辺システム現代化の優先順位、廃止判断はAS400移行・廃止判断チェックリストにまとめています。

若手が学ぶなら、RPGだけで終わらせない

学ぶ領域現場で役立つ理由
RPG・CL・DDS既存資産とバッチの処理を読める
Db2 for i・SQLデータ調査、影響範囲確認、既存処理の可視化に使える
ジョブ・ライブラリ・オブジェクト障害時に実行環境と参照先を切り分けられる
CCSID・IFS・APIWebや他システムとの連携事故を減らせる
Git・RDi・VS Codeソース管理、レビュー、テスト、引き継ぎを改善できる
バックアップ・権限・監査プログラムが動くこと以外の運用品質を守れる

IBM iを理解しながら周辺技術へ橋を架けられる人は、単に古いRPGを直せる人より役割が広がります。学習順はAS400若手エンジニア育成カリキュラム、開発環境はPDM・SEU・RDi・ACS・VS Codeの違いを参考にしてください。

まとめ

AS400は、私が入社した2000年ごろから「なくなる」と言われていました。それでも25年以上経った今も、現場では使われています。

  • 旧製品名のAS/400と、現在も更新されるIBM iは分けて考える
  • IBM iが現役でも、リリース・機器・周辺製品のサポート期限は個別に確認する
  • AS400が残っている理由は安定性と互換性が大きい
  • 販売管理や物流など、止められないシステムに向いている
  • 文字コードや他システム連携は面倒なところがある
  • 若いAS400エンジニアは少なく、チャンスがある
  • ただしAS400だけでなく、多言語や周辺技術も学ぶ方がよい

仕事で使うコンピューターとして、私はAS400が扱いやすくて好きです。ただ、仕事だから向き合っている部分もあり、引退したらもう関わりたくないというのも本音です。

きれいごとだけではなく、そういう現場の本音も含めて、これからAS400を学ぶ人の参考になればうれしいです。

よくある質問

AS400は本当になくなるのでしょうか?

旧製品名としてのAS/400と、現在のIBM iを分けて考える必要があります。IBM iは2026年7月時点でも開発・提供が続いていますが、個々のIBM iリリース、Power機、周辺製品にはサポート期限があります。したがって「すぐ全部なくなる」とも「何もしなくても使い続けられる」とも言えません。自社環境の公式サポート期限、保守要員、バックアップ、移行計画を確認して判断します。

未経験からAS400を学ぶ価値はありますか?

あります。新規参入が少ないため、基本を理解できるだけでも現場で重宝される可能性があります。ただし、将来の選択肢を広げるために、他の言語や周辺技術も並行して学ぶのがおすすめです。

AS400の一番面倒なところは何ですか?

私の場合は文字コードまわりです。EBCDIC、シフト文字、CCSIDなどの概念があり、他システム連携では変換や文字化けに注意が必要です。

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